第28回“光”機到来!Qコロキウム 杉本 泰(神戸大学・准教授) 「誘電体ナノアンテナが拓く光”磁場”制御技術と光化学反応への展開」 羽田 真毅(筑波大・准教授) 「柔軟性分子結晶 〜その構造設計と分光学的手法の利用を目指して〜」
発表1:
杉本 泰(神戸大学・准教授)
「誘電体ナノアンテナが拓く光”磁場”制御技術と光化学反応への展開」
誘電体ナノ構造はその設計次第で光ナノ共振器として動作し、Mie共鳴により光(電磁波)を閉じ込めたり、輻射特性を制御することができる。特に誘電体ナノ構造のMie共鳴では、従来の貴金属ナノ構造のプラズモン共鳴と異なり、光“磁場”を増強することができる。これを上手く活用すれば、これまで無視されてきた物質の光学遷移を活性化し、スピン禁制遷移を利用した新たな光反応の開拓につながると期待される。
本発表では独自に開発した誘電体ナノアンテナの光学共鳴を用いて、光磁場が関与する光学遷移の制御方法、および光反応への応用についての最近の研究結果を紹介する。
発表2:
羽田 真毅(筑波大・准教授)
「超高速時間分解電子線回折法の可能性と複雑な分子への展開」
超高速時間分解電子線回折法とは、フェムト秒からピコ秒の時間分解能で光照射直後の物質の原子・分子の構造ダイナミクスを直接的に観測することが可能なテーブルトップ型の計測手法である。新奇の材料、新奇の現象を観測するためには新奇の計測手法が必要不可欠となるため、我々は新しい計測装置の開発を進めている。本発表では、現在開発している超高速時間分解電子線回折装置を紹介する。また、我々は本手法を複雑な分子の構造ダイナミクスを計測するために展開しており、どのように複雑な分子の構造ダイナミクスを計測するか、その手法についても言及する。