2021 May 17 第16回“光”機到来!Qコロキウム

盛会のうちに幕を閉じました。ご参加ありがとうございました!

発表1:多喜 正泰(名古屋大・准教授)
「超耐光性色素で観る細胞機能 〜典型元素を活用した機能性分子の創製〜」

蛍光イメージングは今日の生命科学研究における必須の技術の一つとなっている.蛍光タンパク質や有機蛍光色素は,蛍光イメージング研究において強力なツールであるが,光の回折限界以下で可視化する超解像イメージングや細胞機能の長時間観察など,強い光暴露を受ける場合には,色素の著しい褪色が問題となってきた.この課題に対して我々は,「蛍光色素骨格に対する典型元素の導入」という設計戦略に基づき,種々のイメージングツールを創出してきた.本講演では,蛍光色素のデザインから,超解像イメージング,および生体深部イメージングに至る応用展開について紹介する.

Youtube チャットコメント一覧:

*チャットコメントに対する先生方からの返答はイタリックで追記しました。

質問① Kiyoshi Miyata

分裂するときに一回消える(分子がなくなる?)のが不思議にも思えるのですが、どう理解するのが正しいでしょうか?

質問② Tasuku Hirayama

技術的なところですが、根のライブイメージングをやってるときはどうやってプローブをとりこませているのですか?根が伸びると全体的に濃度が下がってしまうように思うのですが?

質問③ Tasuku Hirayama

長時間のイメージングでも色素は細胞から出ていかないですか?光耐性だけでなく代謝安定性や細胞滞留性も良好ということでしょうか?

質問④ Takeshi MORI

色素を添加しても細胞機能は維持されるのは、濃度が低いからでしょうか。ミトコンドリアで膜電位が消えたり、リソソーム膜が影響を受けたりしないのでしょうか。

質問⑤ Takeshi MORI

耐光性の高さを、免疫免染した組織切片の長期保存に使うと良いのではと思いました。そのような応用をお考えでしょうか。

質問⑥ 若林里衣(九州大学)

膜を選択的に光らせる色素とのこと、膜に局在しているというよりは、膜(近辺?)にいる色素のみが選択的に光るということでしょうか。膜の中に取り込まれるのか近辺にいることで量子収率が上がるのか、どちらでしょうか。

質問⑦ Tomoyuki Hamachi

組織の形態変化を高解像度で追跡するためには、色素分子の拡散速度が組織の動きよりも十分に遅い必要があると思うのですが、実際に色素分子の拡散はどれくらい抑えられているのでしょうか?

質問⑧ 谷洋介

分子設計をする際の水溶性とか溶解性の考え方について質問させていただきたいです。

コメント❶ Takeshi MORI

よくわかりました。どうもありがとうございます!

質問⑨ Shinsuke Sando

オルガネラ膜を染め分けられるのは、オルガネラコンタクトを解明する上で非常に有用だと思います。素晴らしいです!Sのversionも作られてましたが、Pとの蛍光特性の違いなどRationalな説明って量子化学計算などで可能なんでしょうか。

質問⑩ Shinsuke Sando

他の典型元素だとどうなりそうか予言できるのか聞きたいです。

発表2:神谷 真子(東京大学・准教授)
「オリジナル化学プローブの開発による生体分子イメージング」

化学プローブとは、観測したい分子と結合または反応することでその特性が変化し、標的分子の活性や濃度などを可視化する化合物である。我々はこれまでに、がんで亢進している酵素活性を蛍光で検出する蛍光プローブを開発し、がんモデルマウスや臨床検体におけるがんの迅速描出に有用であることを示してきた。またごく最近、ラマン信号を制御する分子設計法を確立し、細胞内の複数の酵素活性を異なるラマンシフト値で同時検出可能なactivatableラマンプローブの開発に成功した。本講演では、我々が独自に設計・開発してきた化学プローブの設計と応用について紹介する。

Youtube チャットコメント一覧:

質問①

発想が素晴らしすぎて感銘を受けました! SRSスペクトルを取るのにどのくらいの時間の積算をされているのかお聞きしたいです。ストークス光を走査するあたりがどのくらい検出に影響するかという質問です。

質問② Takeshi MORI

蛍光のコントラスにより、正常とがんを識別されていますが、カットオフの設定はどのようになさるのでしょうか。AIを使うのでしょうか。

質問③ Shinsuke Sando

まさかラマンに展開できるとは思っていなかったです。さすがです。どうやってこラマンが使えるという発想に至ったのか聞きたいです。また、実験的なところで、ラマンイメージングの感度についてコメントいただけますか?(あともし時間があれば、何故Activatableになるのか、ちょっとついていけなかったので可能ならもう一度説明をお願いしたいです。)

質問④ 土屋陽一

がん診断の染色に30分程度の時間を要しているように見受けられましたが、術中でイメージングをするためには染色時間が短い方が良いのではないかと思いました。染色時間を短くする戦略などお持ちでしたら、是非お聞かせください。

質問⑤ Tasuku Hirayama

使われているラマン顕微鏡って世界で一台ですか?普及されそうでしょうか

質問⑥ Nobuhiro Yanai

今回のラマンのイメージングで観測できるサイズはどの程度でしょうか

質問⑦ Masayasu Taki

PSMAの発現レベルの評価ですが,プローブの濃度や時間,反応温度の管理などはどのように調整されているのでしょうか?あと,ラマンプローブで最終的な構造にたどり着いたのは化学的安定性によるものでしょうか?それとも基質との反応性によるものでしょうか?

コメント❶ Shinsuke Sando

理解できました。ありがとうございます!

質問⑧ Hiroyuki Yamakoshi

このプローブは水素結合の有無など環境的な要因で波数が変化することはありますでしょうか?

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