2020 Jul. 6 第3回“光”機到来!Qコロキウム

盛会のうちに幕を閉じました。ご参加ありがとうございました!

発表1:平田 修造(電通大院情報理工・助教)
高次励起状態の電子構造制御による高輝度且つ
高効率な長寿命室温りん光の抽出

高効率な室温りん光を示す金属錯体が認知されて20年以上が経過しているが、一般的な有機分子において室温りん光性能が著しく低い根本的な理由は不明瞭である。本講演では、三重項状態からの分子のりん光に関わる各種速度因子に関して実験データと量子化学計算データの相関性を紹介しながら議論する。振動スピン軌道相互作用を加味しながら高次励起状態の電子構造を制御すると50%を超える収率と1秒を超える寿命を有する室温りん光を示す分子を見出すことが可能である。このようにして戦略的に得られた高輝度蓄光型の室温りん光の潜在的な応用等に関しても紹介する。

Youtube チャットコメント一覧:

質問① Kiyoshi Miyata

S5あたりが重要ということですが、T1とのエネルギー差はどのくらいでしょうか?

質問② Takashi Hirose

(高次Sn状態からの摂動を考えない場合)T1からS0への遷移についての、振動子強度はどの程度なのでしょうか?りん光発光速度定数kpに対して、T1->S0の振動子強度から予想されるkpの値に対して、Snとの摂動による寄与の割合はどの程度でしょうか?

質問③ ​Yosuke Tani

高次励起状態との混合の影響は定性的に(例えば分子構造から)予測できますか? N上の置換基をフェニル基からフルオレニル基に変える発想についてもう少し詳しく伺いたいです。

質問④ Yousuke Tani

スライド23枚目 無機発光材料に比べて平田先生の分子で高電流下での消光?の影響が小さいのはなぜでしょうか?

質問⑤ ​Ken Albrecht

有機物の方が耐光性が弱いイメージがありますが、こういった室温リン光材料の高励起光強度下での安定性はどうでしょうか?

質問⑥ ​Yuki Kurashige

恐らく見逃してしまったのですが、T1からの無輻射失活を見積もる際にHT展開の2次の項を評価されてましたが直接項は何か理由があって小さいので無視できるということでしょうか?

質問⑦ ​Tomokazu Yasuike

p.9 のスピン軌道相互作用のノーマルモード偏微分が示すモード依存性の定性的な理解を与える簡単なピクチャーはありますか?

質問⑧​ Youhei Takeda

モルフォルジーのリン光効率への影響はどのくらいありますでしょうか?

質問⑨ ​Takashi Hirose

< S_m | H_(SO) | T_1 > の積分は T1 <-> Sm の遷移確率に関係すると思うのですが、T1 -> S0 の遷移にどのように寄与するのか、上手くイメージできません。もう一度、式の説明をしていただけると嬉しいです。

質問⑩ Yoichi Kobayashi

​一重項の励起状態の軌道はS0の最適化構造を使われているのでしょうか(FC準位の電子状態)?それとも、S1(Snも?)の構造最適化を行っているのでしょうか?難しそうなので、気になりました。

発表2:倉重 佑輝(京大院理・准教授)
電子を回せ! 最先端の励起状態理論と分子のマイデザイン

理論研究のお話です。私のグループでは励起状態や金属錯体など量子的に複雑な構造をもつ電子状態の理論開発と、それらの光機能デザインを目指した応用研究を行っています。いまや量子化学計算は実験研究者にもすっかり浸透し、お手軽(ブラックボックス的)な分析装置として定着しています。しかし、閉殻電子系やHOMO-LUMO励起から一歩外に出ると、信頼性と手軽さを両方備えた手法が確立されておらず理論の荒野が広がっています。本講演では量子情報圧縮に基づく最先端の高精度理論と、π共役系の電子スピン偏極や金属錯体スピンクロスオーバーなど電子スピン変換に着目した最近の研究について紹介します。

Youtube チャットコメント一覧:

質問① Kiyoshi Miyata

それにしても50 fsでスピン転換×2は相当早いように思えるのですが、Fe(bpy)3に関しては何かほかの秘訣があるのでしょうか?

質問② Kiyoshi Miyata

偏極についてですが、アントラセン、ペンタセンでの比較とはどう様子が変わりますか? ジアザ化?の効果がどんなもんか気になります

質問③ Nobuhiro Yanai

ペンタセンの偏極、分子のコンホメーションはどの程度効きそうでしょうか?

質問④ Akio Yamauchi

金属ポルフィリンはJahn-Tellerひずみによって完全には縦横比が同じにはならないと思うのですが、その影響はないのでしょうか?

質問⑤ Nobuhiro Yanai

ダイナミクス、遷移速度まで計算することは可能でしょうか

質問⑥ ​Yosuke Tani

かなり広い質問で恐縮です。重原子効果と分子軌道についてです。いわゆる重原子を入れることによるスピン反転の促進は、分子軌道の角運動量変化によるスピン反転の促進と合わせて理解することはできますか?「回る」分子軌道に重原子が係数をもっているかどうかの関係に興味を持っています。

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