第27回“光”機到来!Qコロキウム 中曽根 祐介(京都大学・助教) 「光で捉えるタンパク質分子の反応ダイナミクス」 林 正太郎(高知工科大・准教授) 「柔軟性分子結晶 〜その構造設計と分光学的手法の利用を目指して〜」
発表1:
中曽根 祐介(京都大学・助教)
「光で捉えるタンパク質分子の反応ダイナミクス」
⽣命活動は個性的な生体分子に担われ、その本質は細胞内外での化学反応の連鎖である。またタンパク質は柔軟な構造を持ち、揺らぎを利用して高い反応性を獲得していると考えられる。過渡回折格⼦(TG)法は、高次構造に敏感な拡散係数や揺らぎを表す熱力学量を時間分解で検出できるため、タンパク質の動作原理の理解に必須な分子内・分子間反応の速度論的解析や、反応と構造揺らぎの相関解析を可能とする。本発表では、TG法による光センサータンパク質の反応ダイナミクス研究を紹介するほか、TG法と高速混合法の融合など、その高度化に向けた技術開発についても紹介する。
発表2:
林 正太郎(高知工科大・講師)
「柔軟性分子結晶 〜その構造設計と分光学的手法の利用を目指して〜」
分子結晶の動的性質(曲がる。膨張ー収縮する。ジャンプする。など)は長い間興味を持たれていた。一方、機械的な変形、すなわち柔軟性は分子結晶の密な配列と複雑な分子間相互作用もあり、実現はなかなかされなかった。ここでは、柔軟性分子結晶の紹介から、分光学的手法を用いたそれらの理解や応用に関する試みを発表する。また、分子結晶研究を行う面白みを最近の例を示して紹介したい。